至高の朝、そしてGoogleマップの「謎のピン」
鹿児島の空の玄関口、鹿児島空港から車で約15分。霧島の深い緑に包まれた天降川(あもりがわ)沿いに佇む「妙見石原荘」。

温泉番付で「横綱」と称されることもあるこの名宿で迎えた最終日の朝は、まさに至高のひとときでした。
川のせせらぎと湯気が混じり合う朝一番の露天風呂「七実の湯」に身を委ね、朝から大きなイワシの丸焼きや、具沢山の味噌汁(大きすぎる野菜がゴロゴロと入っていて、ありがたいような苦しいような超満足感!)が並ぶ丁寧な朝食に舌鼓。
🌟「妙見石原荘」の宿泊レビューは別途まとめています!
「最高の宿だったね、また来ようね」
普通ならここから優雅に空港へ向かい、旅の余韻に浸るはず。
しかし、私の「ピン多すぎ」と友人たちに笑われるGoogleマップ(おいしそうなものや行ってみたい所の情報を見るとすぐにピンを立てる)には、旅の予定を立てるまでほぼノーマークだった鹿児島の中で一箇所だけ「謎のピン」が立っていたのです。
『嘉例川駅・伝説の駅弁(土日祝限定販売)』

嘉例川の駅舎で土日祝のみ販売している駅弁。
「百年の旅物語 かれい川」「花の待つ駅 かれい川」。
嘉例川で原木栽培された椎茸と筍の煮物、派手ではありませんが添加物不使用で素朴な優しい味のお弁当とのこと。竹籠のお弁当箱がこれまたいい感じ。
こんなとこなかなか行かない。っていうか私いつこのピン立てたのどこで知ったの😅
でもとにかく食べてみたい。曜日はばっちり。販売開始は10時。フライトは11時10分。
……いける。鹿児島空港のサイズ感を考えれば、ギリギリいけるはず。
自分に言い聞かせ、お弁当の予約をすべく事前にやまだ屋さんへ電話をする私。
これによって40代母娘の旅最終日は、感動のフィナーレではなく、一刻を争う「大脱走」へと変貌していたのです。
嘉例川駅のサスペンス 刻々と迫る時間と「がね」の忘れ物
明治時代の面影を残す古い木造駅舎、嘉例川駅。
10時の販売開始より少し前に到着しましたが、すでに十数名ほどの列ができていました。
15名と言っても1グループが全員そろって商品を眺めている状況なので実際は6組くらい。
「やばい、予約はしてあるけれど、これ受け取るのにどれくらいかかる?」
列の先では時間より少し早く販売を始めたものの、おじさまがお一人で全ての対応をされています。
並んでいるのは、ほのぼのとした少々年齢層高めな観光客の皆さん。
予約をしていない方が多く、「これはなんですか?」「じゃあこれを1つ、あ、これも……。あんたはどうするの?これ??じゃあこれも……ごめんなさいやっぱりこっちで」などと、時間が止まったかのようなやり取りが続きます。
列に並ぶのも待つのも通常は苦じゃない私ですが、さすがに心拍数が上昇。「予約列ないのか……おじちゃん、はよ捌いてー!!」と叫びたい気持ちを必死に抑えます。売り方も事前リサーチしておくべきだった。分かってたら朝ご飯をもっと早々に切り上げて早く行ったのに😅
さらに、衝撃のロスタイム発生。
途中でご婦人が「がね(鹿児島の郷土料理でさつまいものかき揚げ的なもの)」の入った袋を忘れたようで、販売していたおじさまが「がね……がね忘れた方ー!……どんなお顔だったかな……わからんな……」と突然駅舎から駐車場へ捜索に出て行ってしまったのです。
前述の通り店番は一人。おじさまが戻ってくるまで列がとまる。
「ええぇぇぇ……まじで早よ……😭」
自分都合とはいえ、フライトの時間が迫る緊迫感。普段なら笑えるハプニングも、この時ばかりは「サスペンス劇場」のBGMが脳内に流れます。
奇跡のフォトタイム 見知らぬおじさまの「撮りましょうか?」
ようやくお弁当をゲットし、時計を見ればすでに10時15分すぎ。
「急げ!時間がない!!」と内心思いつつも「せっかく来たのだからせめて1枚くらい写真撮る?」と母に声をかけてホームへ。ササッと写真を撮ろうとしていた私たちに、見知らぬおじさまが声をかけてくれました。
「撮りましょうか?」
え?と思い振り返る私。
お弁当販売で人が集まる日だけいらっしゃっている観光協会の方とか……?
「私もここへは久しぶりに来たんですよ。撮りましょうか?」
ただの親切な方だ!
焦燥感で密かに余裕がなくなっていた私ですが、その温かい言葉に一瞬旅の初心を取り戻しました。ありがたく母との写真を撮っていただき、丁寧にお礼を言い、そこからは競歩(膝が痛いので走れない!)で車へ。

空港への猛追 ガソリンか、保安検査締切か!?
嘉例川駅から空港までは通常15分。
しかし、現実は非情です。前の車が……激遅い。行きは余裕綽々でスルスルだったのに……!!
でもどうしようもない。良きドライバーとしてもちろん煽り立てるような運転はしない。気持ちだけはジリジリしながら空港へ向かう道中、さらなる選択を迫られました。
「ガソリン!!!ガソリン入れないと!」
石垣島の時も土壇場で「ガソリン入れないといけないじゃん!」と慌てたものですが、わたくしガソリンを入れる時間を計算に入れ忘れがち。
でもタイムズで頂いたクーポンよりもっと安い、空港近くのガソリンスタンドの「リッター10円引きクーポン」をアプリで事前にゲットしておいたのです。これ持ってアポロに行くつもりだったのに!
しかし時計は無情に進みます。
ここで遠回りしてガソリンスタンドに寄ったら、レンタカーの返却、急ぎ足の移動、荷物預け、そして保安検査……。結構危険な水域。
500円もしない差額にこだわって航空会社の方に迷惑をかけるようなことになっては。あまつさえ「乗れない」などという事態になっては本末転倒。
「割高にはなるけど、諦めてガソリン代はレンタカー屋さんで精算する!」
10円引きクーポンを潔く捨て、レンタカー屋へ飛び込みました。
足が痛い私を心配する母に「私は後から追うから、慌てず先に行っておいて!」と、竹籠の駅弁と共に母を先に送り出しました。
執念の保安検査通過。旅の余韻は自宅の食卓で
レンタカーの精算を終え、負傷した左膝をほんのりかばいながら空港内を競歩(!)し、母と合流。
何とか締め切り前に保安検査を通過しました。空港のお土産屋さんを覗く余裕はありませんでしたが、「周りに迷惑をかけずにちゃんと間に合った」という達成感で胸がいっぱいに。

帰りもボンバルディアに揺られ、鹿児島に別れを告げました。
帰宅後、自宅の食卓でゆっくりと広げた「かれい川弁当」。竹籠に詰まった「がね」や地元の料理は、冷めても驚くほど美味です。

人吉のHASSENBAで買ってきた焼酎『川辺』を届いたばかりの薩摩切子に注いで、パニックだった最終日を笑いながら振り返る。大人の旅の「最高の締めくくり」でした。
自分の足で歩き(時に転び)、自分の目で選び、美味しいお酒と温泉に癒やされる。
ハプニングはあれど鹿児島と人吉の旅は大満足でした。
ぜひ皆さんも、南九州に行ってみてください!
ただし、玄関の傘立てには、くれぐれもご注意を。
今回の旅行内容と利用したものまとめ
鹿児島旅行を計画中の方のために、今回利用したものをまとめました。参考にどうぞ!
旅行先:鹿児島県(鹿児島市)&熊本県(人吉市)
時期&泊数:3月 2泊3日
交通手段:飛行機 (現地ではレンタカー)
👉日程が決まり次第早めに確認するのがおすすめ。特に連休・週末は埋まるのが早いです!

