【鹿児島・人吉】2日目の朝、まさかのパニック。足の痛みを抱えて向かった「仙巌園」と、一生モノの薩摩切子選び

国内旅行

癒やしの朝を切り裂いた、一瞬の悲劇

人吉の「しらさぎ荘」で迎えた、静かで贅沢な朝。

山女魚の一夜干しや、丁寧に隠し包丁が入ったネギが泳ぐ湯豆腐など、料理人の真心が詰まった朝食でお腹を満たし、心身ともに完璧なデトックスを完了したはずでした。

母と「忘れ物はないか」と話しながら意気揚々と出立しようとした時です。
旅の神様か、はたまた宿に住まうらしい座敷童のいたずらか。事件が発生しました。

【事件発生】玄関に潜む罠、焼き物の傘立て

女将さんが「荷物運びをお手伝いします」と声をかけてくださり、恐縮しながらも靴を履こうとしたその瞬間。

スニーカーのかかとを直そうとひょいと上げた左足のつま先が、玄関に鎮座していた「大きな焼き物の傘立て」の反った端っこ(前回投稿参照)に、絶妙な角度で引っかかってしまったのです。

なまじ重厚で立派な焼き物の傘立て。足を外そうにも、どっしりとした重みと丸い形でぐわんぐわんと揺れて、絶妙に私の足首を捉えて離しません。「あ、あ、あ……」と声にならない声を出している間に――。

ガチャーン!!

派手な音を立てて倒れる傘立て、そして傘立ての重量に倒されて追うように石畳の玄関へ「ベシャリ」と転倒する私。

「やばい、傘立て割れたんじゃないの」と思うくらいの音。
右手はカバンを握りしめ、左手はスニーカーの踵に指を掛けたまま。受け身ひとつ取れず、左ひざを超強打、足首もぶつけ、そして「ヘプッ!」とコンクリートのたたきと少々のキスをする40代の娘。完璧な自爆です。

女将さんは蒼白。
よそ見をしていて何が起きたか分からず、見れば玄関でひっくり返る娘を見て呆然とする母。

膝からはじわじわと血が滲み、上唇は歯がぶつかった衝撃で地味に痺れています。これから鹿児島を満喫しようという出発の数秒前に、私は文字通り「地に落ちた」のでした。

40代の回復力と、救世主「ハイドロコロイド絆創膏」

幸い、足はちゃんと曲がり自力歩行可能。驚きと衝撃でまだ痛みは少ないものの骨は折れていない様子。あとでよくよく考えたら、骨が折れたりヒビが入ったり歯が折れたりして旅行どころじゃなくなる世界線もあったはず。丈夫でよかった。

オロオロと申し訳なさそうにする女将さんに消毒ガーゼと絆創膏を頂いて応急処置しつつ「大丈夫、私の不注意ですから!」と笑顔で別れを告げ、一路鹿児島へ向かいました。

とはいえこのままではいけない。
宿で頂いたのは普通サイズの絆創膏。4枚くらい重ねて大きくしてあるもののストッキングの上から貼っているのでしっかり貼りついてない。傷口をちゃんとふさがねば服も汚れてしまう。道中最初に見つけたドラッグストアへ駆け込み、迷わず手に取ったのは高機能なハイドロコロイド絆創膏。いわゆる「キズ〇ワーパッド」的なアレです。

40代の回復力を信じたいところですが、現実は非情。ここで妥協してはこの後の温泉にも入れなくなります。高級絆創膏を傷をこさえた膝と指にべっちゃりと貼り付け、「よし、これで歩ける」と自分に言い聞かせる姿は、もはや戦場へ向かう兵士のようでした。

とりあえずロングなスウェットワンピで良かった。足は隠れてる笑

ハイドロコロイド絆創膏で応急処置を済ませ、母の思い出巡りをしてから向かったのは、人吉の新しいランドマークでした。


🌟旅の救急セットには、絶対にハイドロコロイド絆創膏を!
これがあれば強打した膝でも、夜の温泉を諦めずに済みます😭

私はこれに本当に助けられました。。。これさえ貼っておけば服も汚れないし痛い思いして頻繁に張り替えなくていいし傷自体の余計な痛みもなくて、傷が塞がるまで安全かつ快適に過ごせます。
少し高いけれど迷わず買ってよかったです。
自宅には靴擦れ用など各種サイズ常備してたものの、さすがに救急セットを持ち歩くことまではしておらず……。
旅行中って「とりあえずの応急処置」で済ませがちですが、ちゃんとしたものを1つ持っておくだけで安心感が全然違いました。

私が使ったのはこういうタイプ👇


安定のキズパワー〇ッドも買いましたが、フリーサイズであればどこにでも使えるし若干お安いと思ってこちらも買いました。

取り急ぎベタッと膝に1枚貼って、宿に着いてから温泉に入る前に新しくきれいに貼りなおしてその後過ごしましたがもちろん完全防水、衣類が擦れてもお湯をかけても痛みもなく、本当に快適!ハイドロコロイド絆創膏さまさまでした!

傷の大きさに合わせてカットできるこのタイプがお勧め。残りを旅行セットに入れておくつもり。
(完全に回し者みたいですが、本気で超助けられたので熱烈に推す……!😂)


負傷の膝を抱え、「HASSENBA」のおしゃれ空間に戸惑う

球磨川側からの撮影。この裏側がちゃんとした道路に面しています。駐車場ももちろんあり。

次に向かったのは、球磨川くだりの発着所をリニューアルした複合施設「HASSENBA」。 本来なら「わぁ、素敵!」と駆け出したいほどスタイリッシュな空間なのですが、少々時間が経って怪我に現実味が湧いてきた今の私には一歩一歩が修行のよう。

「うぅ、地味に膝が痛い……」

傷の痛みというよりも打撲でしょうか。ジンジンと疼く膝を抱え、ほんのり引きずるようにして店内へ。でも、そこには痛みを一瞬忘れさせるほどの洗練された「人吉の今」が詰まっていました。

お土産スペースには、熊本の魅力がギュッと凝縮されています。
鉄板のおみやげから、女性の心をくすぐるデザイン性の高いモダンなパッケージの特産品たちがずらり。「人吉でおしゃれなお土産を探したい」という欲求を、コンパクトながらもここ1箇所で完璧に満たしてくれます。

正直、公式サイトの写真から想像していたほどの巨大施設ではありませんでしたが、その「ぎゅっと詰まった感」が、歩くのも一苦労な今の私にはむしろありがたいサイズ感でした笑

目の前を流れる球磨川の遊覧船を眺めながら「今日AT車で本当に良かった。MT車だったら、この後の運転は無理だったわ……」と、レンタカーのスペックにまで感謝する始末。

球磨川を挟んで、対岸は人吉城の石垣です

痛みを抱えつつも、素敵なおみやげをしっかりキープ。
次はいよいよ本命の鹿児島、薩摩切子との出会いへ向けて車を走らせます。

名勝・仙巌園。入園料は「絶景の特等席代」

痛む足を引きずりながら辿り着いたのは、鹿児島のシンボル「仙巌園」。

大人1,600円という、観光地としては少々強気な入園料に一瞬ひるみましたが、一歩足を踏み入れて納得しました。

ここは「島津家別邸」。目の前に広がる錦江湾を池に、そびえ立つ桜島を築山に見立てたという雄大な庭園は、まさに殿様しか許されないスケールです。「どこに行けば桜島が綺麗に撮れるかな?」なんて悩みは不要。歩いているすべての場所が、桜島のベストポジションなのです。

電柱の位置を見るとわかるのですが、庭園自体が湾岸の道路よりも数段高いところにあるため、余計なものを挟まずに桜島がきれいに見えます

大人1,600円という入園料ですが、庭園・尚古集成館の共通券です。薩摩切子の工房ショップは入園しなくても入れますが、絶景込みで満喫するなら絶対に入園をおすすめします。

「この絶景を独り占めできるなら、1,600円は安いくらいだね」

母とそう頷き合いながら、クルーズ船から降りてきたであろう国際色豊かな観光客に混じり、私たちは殿様気分で庭園を散策しました。

魂を揺さぶる「島津薩摩切子」との対峙

そしてこの日最大の目的が、園内にある「島津薩摩切子」の工房ショップです。

旅の前、父が熱っぽく主張していました。

「しばらくお土産は何もいらない!その代わり鹿児島で薩摩切子を買ってきてくれ!」

鹿児島寄りとはいえ宮崎出身の父がなぜそこまで鹿児島の名品に固執するのかは謎ですが、10年くらい前、祖母・叔母家族・父での里帰り旅行で姪(私の従妹)が別行動タイムで薩摩切子を買ってきたらしく。内心かなり羨ましかったのでしょう。鹿児島の前に行くことになっていた佐賀、福岡、札幌、石垣島と続いた旅の全てのお土産を我慢するから、この瞬間に全てをベットすると主張していた父のことを、優しい娘である私はちゃんと覚えていたのです。

店内に足を踏み入れると、そこには息を呑むような煌めきが広がっていました。

値段は可愛くありませんが…

光を浴びて宝石のように輝く切子たち。手作りのため、一つひとつカッティングの深さも、色のグラデーションも、ガラスの厚みも違います。

店員さんが「好きなのを選んでくださいね」と在庫を全て出してくださり、母と二人、真剣勝負で「これだ!」という一客を選び抜きました。

結局、父の分、母の分、自分の分……と、計3つのお猪口を購入。

お値段は可愛くありませんが、40代、一生モノの工芸品を手にする喜びは何物にも代えがたいものです。

「無料で自宅まで送りますよ」という店員さんの申し出には、迷わず甘えました。
膝を負傷し、この先もバタバタする旅程。こんな繊細な宝物をスーツケースに入れて持ち歩くリスクは、大人の判断で回避するのが正解です。

この薩摩切子です!島津薩摩切子のお猪口の赤と二色の瑠璃と緑を買いました👇


桜島を横目に、霧島のスーパーで「旬」を狩る

その後、AT車の恩恵(MT車だったら左足が死んでいました!😂)を再度噛み締めながら沿岸を快適にドライブ。

宿に向かう途中で立ち寄った地元のスーパー「鮮ど市場 霧島店」では、屋久島のタンカンや、1個100円のデコポンの山に出会いました。

母は「これ安くない?」とデコポンを大量買いして自宅へ発送。高級な薩摩切子を買った直後に、100円のデコポンでホクホクする。この「高級と庶民派」の振れ幅こそが、大人の旅の醍醐味かもしれません(超適当)。

足の痛みはまだジンジンとしていますが、心は薩摩切子の輝きで満たされています(母の分必要だった?いや仲間外れはかわいそうだよねと思いつつ……)。

さぁ、いよいよ今夜の宿は、温泉番付で「横綱」と称される名宿――。

(第3回:駅弁・完結編へ続く)